翼状片とは

結膜下にある組織が異常に増殖してしまい、これによって目に何らかの異常が起きてしまっている状態が翼状片です。多くの場合、増殖した膜というのは、目の内側(鼻側)から角膜に向けて伸びていきます(耳側(外側)から伸びていくこともあります)。この伸びていく状態が鳥の翼に似ていることから翼状片と呼ばれるようになりました。
発症の原因は現時点でわかっていませんが、紫外線やホコリ等の外的な刺激が関係しているのではないかとも言われています。
主な症状
増殖した組織、いわゆる翼状片の組織が角膜に及ぶようになると、目の中に異物感がある、不正乱視等の症状が現れるようになります。さらに翼状片が瞳孔まで達すれば、視力低下がみられるようになります。
検査
肉眼で確認できるケースもありますが、主に細隙灯顕微鏡によって目の表面を確認することで、診断がつけられるようになります。
治療について

翼状片と診断されてもこれといった眼症状がなければ、治療をしないという選択も可能です。ただ異物感や目が充血するなど、何らかの症状があれば点眼療法を行います。
また見た目が気になる(整容上の問題)、視力低下が起きているということであれば手術療法が検討されます。内容としては、まず翼状片を切除します。それによって欠損した箇所を被覆していく手術(結膜弁移植 等)となります。
翼状片手術
外科的切除は、局所麻酔下で角膜に侵入した翼状片を取り除く手術方法です。手術時間は通常15~25分程度です。翼状片は、結膜の下で線維芽細胞が過剰に増殖することで引き起こされる疾患です。したがって単純に翼状片を切除するだけでは、その細胞が再び増殖する可能性が高く、再発率は約50%です。そのほとんどの再発は手術後3ヵ月以内に起こります。
したがって、再発を防ぐためには、翼状片の除去だけでなく、さらなる対策が必要です。例えば、切り取った結膜部分に自身の正常な結膜を移植する方法(結膜弁移植、自己結膜移植)を行うと再発率が低下します。この手法は、再発率が数パーセントにまで減少しますが、若い患者様(50歳未満)ほど再発率が高い傾向があります。 また、手術中に抗がん剤(マイトマイシンC)を薄めて翼状片を切除した後の結膜に塗布する方法もあります。特に重症の症例や年齢が若い患者(50歳未満)に対しては、この方法が併用されることがあります。